続・音の修理は本当に難しい

さて、前回の続きです。

この「フロント・バルブ・ブロック」のパイプ部分に、強い振動が伝わってくるのを確認しました。

では、この部品を交換!という訳にはいきません。

前回も言いましたが高額部品です。

慎重に行きましょう。

その振動が、どこからくるのかです。

パイプを伝っていくと、エンジンルーム内部へ。

↓↓↓

前側にあるパイプに伝わってくる事を確認!

さて、カバーを外してみましょう!

↓↓↓

パイプがポンプらしき部品に接続されています。

角度を変えてみると。

↓↓↓

もう少し拡大してみます。

↓↓↓

パイプが接続されている横に球体の部品があります。

この部品は「パルセーションダンパー」といって、ポンプ駆動で発生する脈動を吸収する部品です。

外すと、こちら↓↓↓

左側が取り付けられていた部品で、右側が新品です。

上から、ちょっと覗いてみます。

これが取り付けられていた部品。

で、こちらが新品。

↓↓↓

フラッシュで反射して見えにくいですが、中の上部が丸いバルブみたいなもので止まっているのがわかります。

取り付けられていたものには、見えません。

これは、内部に注入されているガスがショック(ダンパー)の役目をしていて、そのガスが抜けて落ちてしまっているという事です。

それで脈動を吸収できず、振動として伝わってしまったという事なのです。

という事で、こちらは交換作業を終えて、症状は解消されました。

やはり、音の修理は本当に難しいです(汗)

安易な交換作業は慎重に。

音の修理は本当に難しい

おかげさまで自動車の自動車の整備工場として50年を超えた弊社。

整備内容は車検整備だけではなく、「一般修理」と言われるような作業も致します。

例えば「エンジンの調子が悪い」「窓ガラスが閉まらない」「エアコンが効かない」など、多種多様にあります。

その中でも難しいのが「音」の修理です。

「音」は響くので、「鳴っている」ところと、「聞こえる」ところが違う場合もあり、また「走っている状態でないと音が聞こえない」などの症状には、頭を悩ませます。

以前、こんな事がありました。

「シフトレバーをDレンジに入れると、ミッションから変な音がする」というので点検して見ると。

シフトレバーの中から「ピー」という音がして、よく見てみると、シフトレバーの内部に「補聴器」が落ちていたという事がありました。

また「ミッションから変な音がする」という事で点検すると、コンソール内に入っていた「松ぼっくり」だったり(汗)

今回、ご依頼いただきましたのはメルセデスベンツのSクラス(W221)です。

「左の前付近から異音がする」という症状で入庫されました。

試乗してみますと、車両が停止状態の時には音はせず、走行中のみ異音が発生する事を確認しました。

左の前というと

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タイヤ? ブレーキ? ショックアブソーバー?

それ以外に何があるでしょうか?

タイヤハウス内のカバーを外してみます。

それが、こちら↓↓↓

何やら見えてきました。

拡大して見ると。

↓↓↓

こちら、ABC(アクティブ・ボディ・コントロール)システムの「フロント・バルブ・ブロック」という部品がここに配置されていました。

簡単にいうと「ABC」システムとは「油圧制御サスペンション」システムの事。

この部品はフロント側のサスペンションの制御を行っている部品です。

このパイプ部分に、何か、ちょっと強めの振動が伝わってくるのが、わかりました。

となると、この部品を交換!

そう簡単にはいきません!!

試しに交換するにも、数十万円の部品ですからねぇ~(汗)

ちょっと長くなってしまうので、この続きは次回。

交換してはいけません

年々、車が進化していき、「電気」から「電子」へと変わって行きます。

その過程で一つ一つを動かすコンピューターが「パソコン化」しています。

どういう事かと言いますと、例えば「エンジンのコンピューターが壊れてる」となった場合、以前であれば「交換」です。

でも最近のコンピューターの場合は中の「ソフトウエアを書き換える」という作業になってきています。

以前、こんな事がありました。

車検で入庫し、点検したところ、リヤフォグランプの点灯がおかしい事に気が付きました。

それが、こちら↓↓↓

見てみると、左側が点灯しています。

これでは車検検査を通す事が出来ません。

リヤフォグランプの点灯を制御しているのは、「リヤSAMコントロールユニット」という部品です。

以前であれば、「交換してみよう」となりますが…

テスターで確認してみると↓↓↓

新しいバージョンのソフトウエアが用意されていました。

早速、バージョンアップを開始!

この作業をする場合、イグニッションオンで「エンジンを掛けない状態」で行う事。

それと充電器を接続して「12V以下にならないようにする」事に注意して行います。

そしてバージョンアップが完了。

すると、どうでしょうか!

このように右側が点灯するようになりました。

正直、私どもに、なぜ、こうなってしまったのかは、わかりません。

コントロールユニット内部のソフトウェアが、何かしらをキッカケに不具合が生じてしまったのでしょうか。

現在の車には、交換をする前に、まず、このような作業をする必要があります。

でも、全てが、こうなっているわけではありません。

メーカー、車種、個別コントロールユニットによって違います。

わからない方は、交換する前に一度、ご相談下さい。

お待ちしております。

見た目より、かなり難しい。

最近ではライト関係の部品が次々と「LED化」しています。

「ヘッドライト」「ブレーキランプ」「室内灯」までも。

今回、お客様から「フォグランプのバルブをLEDバルブにしたい」との、ご依頼いただきました。

車両はポルシェ↓↓↓

カッコイイですね~。

さて、フォグランプは、この部分です。

作業をしてみようと、 下から 覗いてみると。

こんな感じ↓↓↓

写真で見るより結構、狭いです。

そしてコネクターを外します。

次にカバーを外してみると…

なんとカバーだけで簡単には外れません!

そして、カバーに取り付けられている配線を外して。

ようやく、見えてきたのが、こちら↓↓↓

これでも構造が、どうなているのか、よくわかりません(汗)

さて、試行錯誤の結果、外れました。

それが、こちら↓↓↓

さらに外して、バルブのみに↓↓↓

上記の写真では、ハロゲンのバルブとLEDのバルブを並べました。

なぜ、並べたかというと。

調べていただくとわかるのですが、実は単純に「LEDバルブ」といっても、形状の種類が色々あって、長さや、太さが、それぞれ違います。

なので、交換する場合は、よく調べてから交換して下さい。

そして、ここが重要ですが!

この作業は一般ユーザーの方が簡単に出来る作業ではありません。

それなりに「工具」が必要です。

しかも汎用のものだけでは難しいと思います。

外すところまでは出来るかもしれませんが、取り付けは、かなり難しかったです。

「リフトアップが出来る事」「工具の種類が豊富にある事」が条件でしょうか。

DIYが流行っている今、何でも自分でされる方が多いと思います。

無理に外そうとして、結局、壊してしまう場合もありますのでご注意下さい。

何かありましたらご相談を!

そんなに複雑ではありません。

1960年代のミニ。

まだ、この頃の車は衝突安全基準が無いので、デザインも自由があり、今では、なかなか出会えないものがありますね。

さて、今回はエンジン不調という事で入庫して頂きました。

実際の状態がこちら↓↓↓

結構、黒煙が出ています。「ガソリンが濃く」「空気が薄い」状態という事がわかります。

エンジンルームを見てみましょう!

まったく手が入らないくらいビッチリですね~(笑)

開けてみましょう!こちら↓↓↓

当然ですが、今のようなインジェクションタイプではありません。

キャブレター式となってます。

こうなると頭がフリーズしてしまうメカニックを多いのでは…

では、今回の原因を、お伝えしましょう~!

こちらが、エンジンのコントロールユニットになります。

この下にバキュームホースが入るんですが…

↑↑↑この真ん中の黒いホースです。

このホース、キャブレターの横につながっていています。

要はマニホールドの状態を、このホースを通して検知しています。

コントロールユニットの下からブレーキマスターの下を通って。

そして、こちら↓↓↓

右側がキャブレターです。

その横に黒い箱がありますが、ここと繋がっています。

このホースが劣化して外れた事により、コントロールユニットは「薄い」と判断したので、ガソリンを多く出すように作動したというのが、原因と結果です。

いかがですか?意外と単純ですよね。

それと同時にエアクリーナーのエレメントも汚れていました。

こちらが新品との比較です。

こちらも原因の一つですね。

そして「ホース交換」「エアクリーナエレメント交換」の作業を実施後、エンジンの調子は正常に復帰しました。

いかがでしょうか!!

簡単そうに見えるかもしれませんが、簡単ではないかもしれません。

確かに弊社の長年の積み重ねです。(笑)

弊社はベテラン、揃っております!(笑)

何かありましたらご相談下さい。

お待ちしております。

あまり知られていませんが…3

さらに続きます。

では取り付け側は、どうなっているのかというと。

取付ボルトを外した状態がこちら↓↓↓

ご覧の通り、「8の字」が変形したような穴形になっています。

ここに調整ボルトを入れます。

反対側から見ると、よりわかりやすいと思いますので、ちょっと角度を変えます。

調整ボルトを調整したい側にボルトの溝を合わせて取り付けます。

そして、こちら↓↓↓

調整ワッシャーの出っ張り部分を8の字の溝に合わせて取り付けます。

そしてナットを取り付けます。

↑↑↑

こちらを見てわかるように取り付け位置がズレていますね。

こちらが反対側↓↓↓

同じようにズレた跡があります。

このようにボルトを入れ替える事で調整が可能になっています。

当然ですが「微調整」は出来ませんし、調整範囲が決まってきます。

なので、基準値に入らない場合はフレーム修正が必要になる事も考えられます。

その場合は、他に曲がっている部品が無いを確認して下さい。

今まで事故車両でも無い限り、フレーム修正をした事は弊社ではありませんので。

また今回、ご紹介した作業をやってみよう!と思う方もいらっしゃると思います。


ですが… 当然、それなりの設備は必要ですので。

無理は禁物です!!

でも、このアライメント調整という作業は

「真っ直ぐ走らない」「左に流れる」

などの症状の改善には、かなり有効なんですよね~。

何かありましたらご相談ください。

お待ちしております。

あまり知られていませんが…2

次回からの続きです。

ではメルセデスベンツのアライメント調整について。

基本的に「リヤキャンバー」は調整出来ません。

基準値内に収まらない場合は、部品交換などが必要になると思われます。

フロントもリヤも「トー」を調整出来る事は、よく知られています。

でもフロントの「キャンバー」「キャスター」を調整出来ないと思っている方が多いようです。

そこで、こちら↓↓↓

そして、この2本のアームを交換。

この作業をした場合にアライメントの調整が必要になります。

そして、こちら↓↓↓

この黒いアームの部分を調整します。

どのように調整するかというと。

↑↑↑このボルトを交換します。

どんなボルトかというと。

左側が取付ボルトとナットとワッシャー。

右側が調整ボルトとナット とワッシャー です。

形が変わっているのが分かるでしょうか。

ではボルトから。

上側にちょっとした溝があります。

そして下側にも溝があります。

今度はワッシャーです。

右側の調整ナットには、上側に、なにやら「蝶ネクタイ」みたいな出っ張りがあります。

さて、これがどうなっているのかは…

長くなってしまうので、また次回に!

お楽しみに!!

あまり知られていませんが…

弊社は数年前までメルセデスベンツのメーカーさんと直接やり取りする「指定工場」でした。

そのため、メルセデスベンツの事については、他社様より少し詳しい部分があります。

W126、W124、W201など、ディーラーさんではもう、整備が出来るメカニックが、 なかなかいません!

でも弊社では受け付けております!!

その中で一つ、あまり知られていない事をご紹介いたします。

それは「ホイールアライメントの調整について」です。

ホイールアライメントとは簡単に言うと「タイヤの角度」です。

こちら↓↓↓

引用先
http://autobusiness.jp/monocoque/jp/wheel_aligment.html

上記のように、4本のタイヤ、それぞれに適正な「角度」があって、それによって車両は真っ直ぐ走行することができるのです。

そして事故や部品の劣化によって、角度が変化してしまうため、調整機能が、どんな車両にも備わっています。

そうしないとタイヤを引きずって走るようになってしまうため、燃費も悪くなります。

近年、気が付くと同業者さんから「メルセデスベンツの車両は旧タイプは調整できたけど、最近の車両は出来ない」という方が意外に多い事を知りました。

ハッキリ言いますが!

そんな事はありませんよ!!

ちゃんと調整出来ますので(笑)

なので、どうなっているのかをご紹介いたします。

と言いたいところでしたが、長くなってしまうので次回に!

お楽しみに!!

新品でもダメなものがあります

お客様から「エンジンのチェックランプが点灯した」という症状で入庫。

診断を進めると「インテークマニホールド」の本体がエアーを吸い込んでいる事が判明。

基本「非分解部品」なのでアッセンブリ交換となりました。

そして、お客様から新品の部品を持ち込まれました。

これがこちら↓↓↓

こちらが「V6」エンジンのインテークマニホールドです。

交換作業を終えて、ロードテストを実施。

すると、また同じ症状が発生。

故障メモリを確認して診断を進めると全く同じ状態…

本来ならば、有り得ないことですが…

「非分解部品」 では、ありますが、弊社で分解してみました。

すると…

↑↑↑

こちら、左右にパックリと割れた状態です。

少し角度を変えると、こんな感じ。

そして、よく確認してみると、エンジン側に接続される部分。↓↓↓

この部分のリーリングが「雑」でしたね(汗)

このシーリングを綺麗に、はがして、弊社でシーリングをし直しました。

すると、どうでしょうか。あら不思議(笑)

ピッタリとエアーの吸い込みが止まりました。

安いからと購入してしまうのは仕方ありません。

こういった場合に保証してくれるかどうか…

ちゃんと確かめてから購入して下さい。

特に個人で購入する場合は要注意です。

すべて電気自動車になるのか⁉

写真引用
https://intensive911.com/?p=247765

年頭にあたり、ちょっと真面目な話を。

現在、地球温暖化や気候変動の問題がCO2の排出にあるという事で、各国が「脱炭素」という方針を出しています。

昨年の9月頃に、こんな記事が出ていましたね。

↓↓↓

”欧州連合(EU)は2035年にハイブリッド(HV)車を含むガソリン車の新車販売を事実上禁止する方針を打ち出した。米バイデン政権も30年に排ガスを出さない新車を50%に引き上げる目標を掲げるなどEVへの移行に前のめりだ。”

あと10年もすると欧米では「ガソリン車」が販売できないという事のようです。

そして日本政府や東京都は

↓↓↓

”国内でも菅首相は1月、「35年までに、新車販売で電動車100%を実現する」と宣言、小池百合子都知事も昨年12月、「乗用車を30年までに『100%非ガソリン化』することを目指す」と述べている。”

これに対して「トヨタ自動車の豊田章男社長」は

↓↓↓

”「一部の政治家からは、全てを電気自動車にすればいいんだとか、製造業は時代遅れだという声を聞くこともあるが、違うと思う」。”

”「私たちの敵は炭素であり、内燃機関(エンジン)ではない」”

と、おっしゃっています。

よくよく調べてみると「内燃機関(エンジン)」を設計から製造まで出来るのは「ドイツ」「アメリカ」「日本」の3か国だけなのだそうです。

そして、その中でトップクラスの技術を持っているのが「日本」。

本当に、すべて電気自動車に変わっていくのでしょうか。

真面目に「ルールを守る日本」。

そして都合よく「ルールを作る欧米」。

弊社としても今後、対応していかねばなりません。

引用:ITmediaビジネスonline
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2109/24/news152.html