こんな事ってあるの!?

今年の夏は記録的な暑さが続いておりますが、体調など崩されていないでしょうか。

車も、暑さからくるダメージが影響して、不思議な症状が出たりして、診断に悩む事が増えるのが、この暑い時期です。

特にプラスチック製品のダメージは大きく、些細な事がきっかけで壊れてしまう事があります。

今回の修理依頼の車両は「スマート」です。

パワーウインドウが動かなくなったとの事。

状態としては、こんな感じです。↓↓↓

「スマート」という車は面白い構造になっており、普通の車は内側から外していくのですが、スマートの場合は外側から外していきます。

このように外側のドアパネルを外すと内部が見えます。

そして、よく見てみると…

モーター付近でワイヤーがはみ出ています。

これでウインドレギュレーターの破損と判断されます。

そして、交換するとなると、意外と面倒です。

ドアライニングを取り外して…

ドアロックを取り外して…

ようやく、こんな感じです。

内側から見ると…

アルミフレームに「リベット」で取り付けられています。

拡大して見ると…

このリベットを取り外すには、ドリルを使用して削ります。

例えば、こんな感じです。

まずはリベットの「頭」の部分を取り外します。

こんな感じです。

でも、この状態では、まだ外れません。

ポンチなどを使用して、取り切れない部分を外します。

このような状態になって、ようやく外れます。

当然ですが、ドリルのサイズは大きすぎず、小さすぎず。

間違うとリベット穴が変化してしまいます。ご注意を!!

リベットの外れた部分がこちら↓↓↓

リベットがどういうものかというと…

右側に並べているのが「リベット」です。

これを使用する事によって、ガタが出ないようにピッタリと取り付ける事が可能になります。

そして取り付けようとした時に気が付いた事がありました。

取り外した上記のリベットの「残り」がアルミフレームの中に入ってしまって、コロコロと音がしているのです!

そのため、ボディーからフレームを取り外しました。

あっちでコロコロ、こっちでコロコロ…

最終的には、フレームに穴を空けて全てを回収し終える事に。

こんな事ってあるのかと(汗)

デザイン上、仕方ない部分もあるかもしれませんが、製造過程でこういう事は、わからなかったのか…

こうして新品を取り付けて、全てを元に戻して作業終了です。

単に「ウインドレギュレーター交換」と単純作業と思うなかれ。

意外な落とし穴がある場合もあります。

常に慎重に、丁寧な作業を心がけたいと思います。

随分と違うもんですね

弊社は「輸入車」を中心に整備を行っております。

いわゆる「外車」ってやつですね。

以前は「指定工場」として、メーカーさんと直接やり取りもしておりました。

その経験もあり、今では幅広く対応出来るように診断機やスペシャルツールなどを用意しております。

その中で、あまりお目にかからないのが「日本車」です。

最近は各ディーラーさんも、お忙しいようで「予約しても1ヶ月待ち」などと言われてしまい「どうにかしてもらえないか」と依頼いただきまして、整備をする事もあります。

今回、ご紹介するのは「トヨタ ヴェルファイヤ」

「雨漏れがする」という事で入庫されました。

ネットで検索すると結構ある症状のようでした。

ですが「ネットにあるから、皆同じ」という訳ではありません。

「本当はどうなっているのか」という「状況確認」が必要です。

そのため、お客様の許可を頂いてルーフライニングを取り外しました。

それが、こちら↓↓↓

弊社にも、ネット上にも「整備マニュアル」がありませんので、いやぁ~本当に、なかなか大変でした。

「エアバック」や「リヤエアコン」「リヤモニター」「サードシート」などなど、取り外すのに邪魔する部品がいっぱいありました。

ちなみに、この車両のルーフライニングを外すのは今回「初めて」です。

弊社での長年の「経験」と「ネット情報」で何とかなりました。

そして、ルーフライニングが外れた状態でシャワーテスト。

水が垂れてきました!

こちら↓↓↓

運転席の上辺りでした。

ちょっと拡大してみますと…

雫が見えますかね。シャワーテストすると、ここからジャバジャバと垂れてきました。

垂れてきたフロント側のサンルーフを取り外してみました。

ガラス付きで外れていると、わかりにくいですね。

ガラス無しの状態がこちら↓↓↓

近づいて見ると…

結構「砂」が溜まっています。

角度を変えると…

ここを掃除してきれいにしたのが↓↓↓

明らかに穴を塞いでいました。これでは、雨水がドレンへなかなか流れていかないので、雨漏れになっってしまいますね。

掃除して穴の大きさが変わりました!

これで完了!!

そして再度、シャワーテスト!!!

と思ったら…

あらっ、まだ漏れてくるぞ!?

どういうこと??

今一度、よくよく再点検…

新たな事実が判明しました。

それが、こちら↓↓↓

こちらは漏れてきた運転席上部の部分です。

そして下の写真は助手席側です。

↓↓↓

わかりやすくするために「矢印」付けてみました。

この矢印の隙間が助手席側に比べて、運転席側の方が大きくなっている事が判明したのです。

言い方を変えると運転席側のフレーム部が少し下がってしまったという事でした。

フレームが下がっている分、角度が付いてしまうので、雨の量が多い場合、対処しきれずに溢れてしまうようになっていました。

こうなった原因としては長時間、炎天下での屋外駐車によって熱変形してしまったと考えられます。

ここで、ちょっと感じたのが…

輸入車の場合、サンルーフのフレームは「スチール製」で「密閉タイプ」なので、ここからの雨漏れって、ほとんどありません。

日本車の場合、憶測ですが…経費削減や軽量化などの対策という事もあるのでしょう、フレームは「プラスチック製」。しかも、密閉タイプではなく、「雨樋タイプ」。

随分と違うもんですね。

メーカーさんによって考え方が違いますので、どちらが、お客様にとっていいのかは、筆者にはわかりません。

弊社としては、どのメーカーさんにも対応できるように今後も努力を続けたと思います。