コンマ何ミリの世界

一昔前、純正品以外に選択肢が無かった時は、輸入車を維持するのは本当に大変な事でした。

最近ではエンジンオイルのフィルターやワイパーブレード、ブレーキパッドなどの消耗品には社外品として、純正品よりも安く提供してくれる部品メーカーさんがあり、輸入車を維持するのに貢献しています。

その分、困った事もあります。

先日、お客様より「何度、交換しても直らない」という事で修理の依頼を受けました。

細かく確認して見ると、エンジンのベルトが切れて、アイドラプーリーも同時に交換しているが、すぐにベルトが切れてしまうとの事。

早速、エンジンルームを点検。

よく見ると…

エンジンのベルトの一部が切れています。

どうなっているのかを確認するため、取り外してみました。

↓↓↓

結構ひどい状態です。

何で、こんなになってしまうのか…

よーく、エンジンのベルト周りを確認。

ウォーターポンプ、オールターネーター、エアコンコンプレッサー、パワーステアリングポンプなど…

特にガタや、単体での回転に違和感はありません。

アイドリング状態で確認してみると微妙にぶれる部品がある事を確認。

それは「アイドラプーリー」です。

左側が社外品。右側が純正品。

裏側も見てみると…

見た目ではわかりません。

でも真ん中のボルトを上下左右に動かしてみるとハッキリ違いが分かります。

社外品の方が「ガタ」が大きいのです。

純正品を取り付けて再度、確認。

回り方にブレは無く、綺麗に回転しています。

これでベルトが切れる事は無くなりました。

社外品のすべてが「安かろう悪かろう」ではありません。

でも、たまにあるのは事実です。

製造工程で組付けた状態で1ミリも無いくらいの誤差で、こうなります。

特に安い部品を個人で購入して、持ち込まれるお客様。

気をつけようもない場合もあります。

その時は弊社へご相談下さい。

お待ちしております。

こんな事ってあるの!?

今年の夏は記録的な暑さが続いておりますが、体調など崩されていないでしょうか。

車も、暑さからくるダメージが影響して、不思議な症状が出たりして、診断に悩む事が増えるのが、この暑い時期です。

特にプラスチック製品のダメージは大きく、些細な事がきっかけで壊れてしまう事があります。

今回の修理依頼の車両は「スマート」です。

パワーウインドウが動かなくなったとの事。

状態としては、こんな感じです。↓↓↓

「スマート」という車は面白い構造になっており、普通の車は内側から外していくのですが、スマートの場合は外側から外していきます。

このように外側のドアパネルを外すと内部が見えます。

そして、よく見てみると…

モーター付近でワイヤーがはみ出ています。

これでウインドレギュレーターの破損と判断されます。

そして、交換するとなると、意外と面倒です。

ドアライニングを取り外して…

ドアロックを取り外して…

ようやく、こんな感じです。

内側から見ると…

アルミフレームに「リベット」で取り付けられています。

拡大して見ると…

このリベットを取り外すには、ドリルを使用して削ります。

例えば、こんな感じです。

まずはリベットの「頭」の部分を取り外します。

こんな感じです。

でも、この状態では、まだ外れません。

ポンチなどを使用して、取り切れない部分を外します。

このような状態になって、ようやく外れます。

当然ですが、ドリルのサイズは大きすぎず、小さすぎず。

間違うとリベット穴が変化してしまいます。ご注意を!!

リベットの外れた部分がこちら↓↓↓

リベットがどういうものかというと…

右側に並べているのが「リベット」です。

これを使用する事によって、ガタが出ないようにピッタリと取り付ける事が可能になります。

そして取り付けようとした時に気が付いた事がありました。

取り外した上記のリベットの「残り」がアルミフレームの中に入ってしまって、コロコロと音がしているのです!

そのため、ボディーからフレームを取り外しました。

あっちでコロコロ、こっちでコロコロ…

最終的には、フレームに穴を空けて全てを回収し終える事に。

こんな事ってあるのかと(汗)

デザイン上、仕方ない部分もあるかもしれませんが、製造過程でこういう事は、わからなかったのか…

こうして新品を取り付けて、全てを元に戻して作業終了です。

単に「ウインドレギュレーター交換」と単純作業と思うなかれ。

意外な落とし穴がある場合もあります。

常に慎重に、丁寧な作業を心がけたいと思います。