スペースが狭すぎる!?

最近の車両は「車内を広く」「安全装備」「コンパクト」というのが流行。

そして、メンテナンスする側のメカニックとして気になるところは「エンジンルームが狭くなってきている」という事。

色々な装備が取り付けられた関係で作業スペースが、ほとんどない車両も増えています。

先日、エアコンが効かないという事で車両の入庫がありました。

車両はメルセデスベンツのGLK。

診断するとエアコンのコンプレッサーの不具合と判明。

リフトアップして下から見てみると…

見ての通り、ビッチリと手の入る隙間はありません。

コンプレッサーはというと。

この状態で向かって右側からエンジンにかけて3本のボルトで取り付けられています。

角度を変えると…

ボルトを取り外すためのスペースは用意されていません。

こういった場合、どうするかというと「エンジンを浮かせてスペースを作る」のです。

そうするために「エンジンマウント」を切り離さなければなりません。

まずはエンジンマウントの取り付けボルトを外すためのスペースを作ります。

エンジンマウントはエキゾーストマニホールドの下に位置します。

確認してみると↓↓↓

この先にエンジンマウントがあるのですが、まずエキゾーストパイプを外そうにもステアリング のシャフトが邪魔をして外せません。

角度を変えると↓↓↓

外そうとすると「O2センサー」が引っ掛かります。

邪魔なシャフトを外してみると

これでO2センサーが見えて、エキゾーストパイプの取り付けボルトも見えてきました。

エキゾーストパイプを取り外してエンジンマウントが見えてきました。

白い矢印のところに取り付けボルトがあります。ここは上にエキゾーストマニホールドがあるため、ここまで取り外さないと外すことが出来ません。

そして↓↓↓

この矢印のところには「ドライブシャフト」が取り付けられていました。

角度を変えると↓↓↓

ドライブシャフトを取り外すと

↓↓↓

これでスペースを作る準備ができました。

そしてエンジンマウントを浮かせます。

こんな感じ↓↓↓

実際には「5㎝」くらいの上昇です。

エンジンの傾き方はというと↓↓↓

向かって左側に傾いているのがわかるでしょうか。

そしてコンプレッサーの部分のスペースはどうかというと…

これで取付ボルトを外せるだけのスペースが出来ました。

この状態でパワーステアリングのポンプを取り外して、さらにスペースを作ります。

ここまで、しっかりとスペースを作ることで取り外す事が出来るのです。

こちらがコンプレッサーです。

↓↓↓

角度を変えると…

白い矢印の部分がボルトが取り付けられていた部分です。

ここのボルトを取り外すために、これまでの作業が必要だったわけです。

そして交換作業後は正常に作動しています。

最近はエンジンルームのスペースが狭い車両が多いため、作業に時間がかかりやすくなっています。

その分は「工賃」としてお客様に負担が掛かります。

弊社としては、その負担を出来るだけ少なくするための努力を、日頃から行っています。

何かありましたらご相談下さい。

宜しくお願い致します。

こんな故障は初めてです②

さて、前回からの続きです。

「エンジン音が大きい」

↓↓↓

「エンジンチェックランプ点灯」

↓↓↓

「カムシャフト作動しない」

↓↓↓

「エンジンコントロールユニット交換」

と進んでいった結果、全く改善しませんでした(汗)

いやぁ~参りました…

「電気的な故障」も、「機械的な故障」も、全て点検し、何度も見直しましたが全くわからず…

色々な方に、相談してみましたが「そんな故障は聞いたことが無い」と。

あるところの情報では…

「バルブリフターの不具合ではないか」

「カムシャフト自体に問題があるのではないか」

など、どちらにしても安い金額では無い部品ばかりです。

色々と考えて、まずは「エンジオイルを交換して変化があるかどうか」を確認してみる事に。

↓↓↓

左側が入っていたエンジンオイル。

右側が新品のエンジンオイルです。

比べてみましたが、粘度には、あまり問題は無さそうでした。

そしてエンジンオイルフィルターも、ついでに交換しておこうと…

キャップを開けたところ。

↓↓↓

???

写真では、分かりにくいですが違和感を感じました。

そして取り外してみると…

↓↓↓

角度を反対に変えると↓↓↓

お分かり頂けるでしょうか!?

新品の部品と比べてみましょう!

↓↓↓

形状が縮み、変形していました。

そうなんです!

エンジンオイルフィルターが詰まっていたことで、エンジン全体にオイルが回りきらないために、音が出て、カムシャフトも作動出来ないという事が判明しました。

エンジンオイルとフィルター交換後、正常な作動に復帰しました。

この故障原因に、たどり着くまでに、なんと約3か月もかかりました(汗)

いやぁ~長かった(涙)

長年、整備士として働いてきましたが、こういう症状での故障は初めてでした。

原因がわかってみると、また、故障診断が面白いと感じてしまいました。

これからも努力精進していきたいと思います。

よろしくお願いいたします。