経験がものを言うが②

さて今回から診断に入ります。

症状は「ソフトトップが作動しない」という状況です。

弊社が他社様と違うのが「正規」の診断システムと診断マニュアルがある事でしょうか。

まずはこちら↓↓↓

HHT(ハンドヘルドテスター)です。

そして↓↓↓

故障診断時の「正規」の診断マニュアルです。

なので弊社では、この年代のベンツで「わからない」という事は、ほとんどありません。

そして診断を進めると、ソフトトップのコントロールユニットが 1箇所スイッチの 故障を検知していました。

診断を進めるため、コントロールユニットを確認。

場所は室内の後部になります。

左側のカバーを開くと…

↓↓↓

拡大してみましょう!

こちらのコントロールユニットは「ソフトトップ」と「ロールバー」の制御をしています。

診断を進めるにあたり、「診断ボックス」「診断ソケット」というものがあるのですが、ピン番号が分かれば、診断できると判断した場合は、そのまま直接、コネクタのピン番号を確認して診断を進めます。

どういう事かといいますと…

コントロールユニットからコネクタを外した状態です。

拡大してみると↓↓↓

右下が「1番」、その上の中央が「20番」、そして右上が「38番」となっています。

そして↓↓↓

左下が「19番」、その上が「37番」、そして左上が「55番」です。

「○○番ピンと○○番ピンの抵抗値を点検」とか、「電圧を点検」という診断であれば、そのままピン番号にデジタルのテスターなどを接続して測定すれば、診断できます。

そして診断を進めた結果、スイッチに不具合は無く、故障も消去後、再入力しないことがわかりました。

さらに診断は進みます!

では次回に!!

経験がものを言うが①

最近は、どこの業界でも人材不足と言われています。

自動車整備士の業界でも同じで、古い車両を直すことが出来る整備士が減って来ています。

弊社は、どちらかというとベテラン揃いですので、最新の車両よりは古い車両の方が得意かもしれませんね。

さて今回、ご紹介いたします整備はベンツ「SL」です。

しかも「R129」と言われるタイプの車両。

「ソフトトップが作動しない」という症状で入庫。

その前に、「ソフトトップ」って、どんなものなのか!?

スイッチ一つで自動的にルーフを収納してくれるというものです。

では、どんな感じで動くのか!

見てみましょう~!

こちらがルーフ閉じている状態です。

↓↓↓

そしてスイッチをON!!

↓↓↓

まずはルーフの後ろ側が開きます。

そして↓↓↓

収納スペースのカバーが開いて!

ルーフ全体が収納スペースへ動きます!

そして↓↓↓

収納スペースにルーフが収まると!

収納スペースのカバーが閉じます!

という事で!

このように開放感のある状態になるわけです。

春先や秋頃にドライブすると、とても気持ちいいですね。

という事で、こちらは直った状態のご紹介でした。

さて次回から診断の状況を、お伝えしたいと思います。

スペースが狭すぎる!?

最近の車両は「車内を広く」「安全装備」「コンパクト」というのが流行。

そして、メンテナンスする側のメカニックとして気になるところは「エンジンルームが狭くなってきている」という事。

色々な装備が取り付けられた関係で作業スペースが、ほとんどない車両も増えています。

先日、エアコンが効かないという事で車両の入庫がありました。

車両はメルセデスベンツのGLK。

診断するとエアコンのコンプレッサーの不具合と判明。

リフトアップして下から見てみると…

見ての通り、ビッチリと手の入る隙間はありません。

コンプレッサーはというと。

この状態で向かって右側からエンジンにかけて3本のボルトで取り付けられています。

角度を変えると…

ボルトを取り外すためのスペースは用意されていません。

こういった場合、どうするかというと「エンジンを浮かせてスペースを作る」のです。

そうするために「エンジンマウント」を切り離さなければなりません。

まずはエンジンマウントの取り付けボルトを外すためのスペースを作ります。

エンジンマウントはエキゾーストマニホールドの下に位置します。

確認してみると↓↓↓

この先にエンジンマウントがあるのですが、まずエキゾーストパイプを外そうにもステアリング のシャフトが邪魔をして外せません。

角度を変えると↓↓↓

外そうとすると「O2センサー」が引っ掛かります。

邪魔なシャフトを外してみると

これでO2センサーが見えて、エキゾーストパイプの取り付けボルトも見えてきました。

エキゾーストパイプを取り外してエンジンマウントが見えてきました。

白い矢印のところに取り付けボルトがあります。ここは上にエキゾーストマニホールドがあるため、ここまで取り外さないと外すことが出来ません。

そして↓↓↓

この矢印のところには「ドライブシャフト」が取り付けられていました。

角度を変えると↓↓↓

ドライブシャフトを取り外すと

↓↓↓

これでスペースを作る準備ができました。

そしてエンジンマウントを浮かせます。

こんな感じ↓↓↓

実際には「5㎝」くらいの上昇です。

エンジンの傾き方はというと↓↓↓

向かって左側に傾いているのがわかるでしょうか。

そしてコンプレッサーの部分のスペースはどうかというと…

これで取付ボルトを外せるだけのスペースが出来ました。

この状態でパワーステアリングのポンプを取り外して、さらにスペースを作ります。

ここまで、しっかりとスペースを作ることで取り外す事が出来るのです。

こちらがコンプレッサーです。

↓↓↓

角度を変えると…

白い矢印の部分がボルトが取り付けられていた部分です。

ここのボルトを取り外すために、これまでの作業が必要だったわけです。

そして交換作業後は正常に作動しています。

最近はエンジンルームのスペースが狭い車両が多いため、作業に時間がかかりやすくなっています。

その分は「工賃」としてお客様に負担が掛かります。

弊社としては、その負担を出来るだけ少なくするための努力を、日頃から行っています。

何かありましたらご相談下さい。

宜しくお願い致します。

こんな故障は初めてです②

さて、前回からの続きです。

「エンジン音が大きい」

↓↓↓

「エンジンチェックランプ点灯」

↓↓↓

「カムシャフト作動しない」

↓↓↓

「エンジンコントロールユニット交換」

と進んでいった結果、全く改善しませんでした(汗)

いやぁ~参りました…

「電気的な故障」も、「機械的な故障」も、全て点検し、何度も見直しましたが全くわからず…

色々な方に、相談してみましたが「そんな故障は聞いたことが無い」と。

あるところの情報では…

「バルブリフターの不具合ではないか」

「カムシャフト自体に問題があるのではないか」

など、どちらにしても安い金額では無い部品ばかりです。

色々と考えて、まずは「エンジオイルを交換して変化があるかどうか」を確認してみる事に。

↓↓↓

左側が入っていたエンジンオイル。

右側が新品のエンジンオイルです。

比べてみましたが、粘度には、あまり問題は無さそうでした。

そしてエンジンオイルフィルターも、ついでに交換しておこうと…

キャップを開けたところ。

↓↓↓

???

写真では、分かりにくいですが違和感を感じました。

そして取り外してみると…

↓↓↓

角度を反対に変えると↓↓↓

お分かり頂けるでしょうか!?

新品の部品と比べてみましょう!

↓↓↓

形状が縮み、変形していました。

そうなんです!

エンジンオイルフィルターが詰まっていたことで、エンジン全体にオイルが回りきらないために、音が出て、カムシャフトも作動出来ないという事が判明しました。

エンジンオイルとフィルター交換後、正常な作動に復帰しました。

この故障原因に、たどり着くまでに、なんと約3か月もかかりました(汗)

いやぁ~長かった(涙)

長年、整備士として働いてきましたが、こういう症状での故障は初めてでした。

原因がわかってみると、また、故障診断が面白いと感じてしまいました。

これからも努力精進していきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

こんな故障は初めてです①

筆者が整備士の道を歩み始めて30年を過ぎました。

最初、某日本メーカーのディーラーさんい就職して4年半。

ディーラー内で認定される1級整備士を受験するためのメンバーに選ばれた時点で退社してしまいました。

その後、輸入車の販売と整備を行う業者さんへ就職。

時はバブル崩壊後の不景気で、会社は半年で傾き、転職。

そして現在の会社に長年にわたり、お世話になっております。

筆者の仕事としては「故障診断」が中心です。

今までに色々な故障を見てきました。

今でも時々、ビックリするような故障に出会う事があります。

今回は、その中の1つの故障事例をご紹介いたします。

↓↓↓

「修理後、エンジン音が大きくなった」と苦情に近い状況での入庫。

車両はベンツのSクラス。W221タイプ。

確かにエンジン音が「ガチャガチャ」と金属音が大きくなっている感じでした。

その後、エンジンチェックランプが点灯。

テスターで診断すると…

全てのバンクのカムシャフトの故障と認識されていました。

このエンジンは状況に応じて、カムシャフトタイミングを変化させる事ができます。

実際に作動させてみると…

下のバーグラフが緑の枠の中に入ると正常なのですが、「17」という数値がら全く動きません。

この状況からみると、カムシャフトを作動させるための「アクチュエーター」が動いていない…という事になります。

では、ここで実際の状況は、どうなのかを確認してみましょう!

エンジンのエアクリーナーケースやエアダクトなどを取り外します。

↓↓↓

そしてシリンダーヘッドカバーを取り外します。

カムシャフトは、どうなっているのか…

動いていないかもしれない「アクチュエーター」というのが、こちらです。

↓↓↓

この矢印の部品の中に磁石が入っており、状況に応じて、作動します。

見た目では分かりませんので、まずは交換して見ないとわからないというのが正直なところです。

そのため、交換してみることに!

ところがです…

全く改善されず…

困りました(汗)

こうなってくると「機械的な故障」というよりも、「電気的な故障」という事でアクチュエーターをコントロールしている側の問題ではないかと考えられます。

最終的には「コントロールユニットの不具合」と判断しました。

エンジンのコントロールユニットはこちら↓↓↓

早速、交換してみた結果はどうでしょうか!?

次回に続きます!

随分と違うもんですね

弊社は「輸入車」を中心に整備を行っております。

いわゆる「外車」ってやつですね。

以前は「指定工場」として、メーカーさんと直接やり取りもしておりました。

その経験もあり、今では幅広く対応出来るように診断機やスペシャルツールなどを用意しております。

その中で、あまりお目にかからないのが「日本車」です。

最近は各ディーラーさんも、お忙しいようで「予約しても1ヶ月待ち」などと言われてしまい「どうにかしてもらえないか」と依頼いただきまして、整備をする事もあります。

今回、ご紹介するのは「トヨタ ヴェルファイヤ」

「雨漏れがする」という事で入庫されました。

ネットで検索すると結構ある症状のようでした。

ですが「ネットにあるから、皆同じ」という訳ではありません。

「本当はどうなっているのか」という「状況確認」が必要です。

そのため、お客様の許可を頂いてルーフライニングを取り外しました。

それが、こちら↓↓↓

弊社にも、ネット上にも「整備マニュアル」がありませんので、いやぁ~本当に、なかなか大変でした。

「エアバック」や「リヤエアコン」「リヤモニター」「サードシート」などなど、取り外すのに邪魔する部品がいっぱいありました。

ちなみに、この車両のルーフライニングを外すのは今回「初めて」です。

弊社での長年の「経験」と「ネット情報」で何とかなりました。

そして、ルーフライニングが外れた状態でシャワーテスト。

水が垂れてきました!

こちら↓↓↓

運転席の上辺りでした。

ちょっと拡大してみますと…

雫が見えますかね。シャワーテストすると、ここからジャバジャバと垂れてきました。

垂れてきたフロント側のサンルーフを取り外してみました。

ガラス付きで外れていると、わかりにくいですね。

ガラス無しの状態がこちら↓↓↓

近づいて見ると…

結構「砂」が溜まっています。

角度を変えると…

ここを掃除してきれいにしたのが↓↓↓

明らかに穴を塞いでいました。これでは、雨水がドレンへなかなか流れていかないので、雨漏れになっってしまいますね。

掃除して穴の大きさが変わりました!

これで完了!!

そして再度、シャワーテスト!!!

と思ったら…

あらっ、まだ漏れてくるぞ!?

どういうこと??

今一度、よくよく再点検…

新たな事実が判明しました。

それが、こちら↓↓↓

こちらは漏れてきた運転席上部の部分です。

そして下の写真は助手席側です。

↓↓↓

わかりやすくするために「矢印」付けてみました。

この矢印の隙間が助手席側に比べて、運転席側の方が大きくなっている事が判明したのです。

言い方を変えると運転席側のフレーム部が少し下がってしまったという事でした。

フレームが下がっている分、角度が付いてしまうので、雨の量が多い場合、対処しきれずに溢れてしまうようになっていました。

こうなった原因としては長時間、炎天下での屋外駐車によって熱変形してしまったと考えられます。

ここで、ちょっと感じたのが…

輸入車の場合、サンルーフのフレームは「スチール製」で「密閉タイプ」なので、ここからの雨漏れって、ほとんどありません。

日本車の場合、憶測ですが…経費削減や軽量化などの対策という事もあるのでしょう、フレームは「プラスチック製」。しかも、密閉タイプではなく、「雨樋タイプ」。

随分と違うもんですね。

メーカーさんによって考え方が違いますので、どちらが、お客様にとっていいのかは、筆者にはわかりません。

弊社としては、どのメーカーさんにも対応できるように今後も努力を続けたと思います。

かなり評判がいいです。

お客様の中で「車のホイールが汚れるのが嫌だ!」という方は少なくないと思います。

特に「自分の車は自分で洗車する!」というように思っている、お客様であれば尚更かと…

ホイールの汚れの正体はブレーキを踏み込んだ時に出るブレーキパッドのダスト(鉄粉)です。

ホイールが黒くなるのは、その鉄粉が付着したというより「刺さった」状態という方が的確かもしれません。

だから、なかなか取れないんですよね(汗)

いつまでも綺麗に乗りたいと思う方であれば、誰もが何とかならないかと思うのではないでしょうか!

そこで今回は、そんなお客様にお勧め致します。

それは「ヘラパジット(HELLA PAGID)」というメーカーさんの「低ダスト」のブレーキパッドです。

実際の部品は、こんな感じ↓↓↓

純正のブレーキパッドと比べてみましょう。

↓↓↓

左側が純正品。右側がヘラパジッド製品です。

ディスクローターとの接触面の形状がちょっと違いますね。

この斜めのカットは、もしかするとブレーキ鳴き対策なのかもしれませんね。

そう!ブレーキ鳴きって嫌ですよね!!

信号で止まる時…「キー!」という、あの音!!!

実は、あの「ブレーキ鳴き」の発生には色々な要素があるんです。

例えば、素材の問題。パッドとローターの素材の相性が悪いとか。

パッドが固定されずに動いてしまうために音が発生してしまうとか。

ブレーキキャリパー側の取り付け状態に不具合があるなど…

色々あるんです。

弊社では最近、ブレーキ鳴き対策に使用している商品があります。

それが、こちら↓↓↓

裏側も見てみましょう。

商品名は「ストップ・スクィール」といいます。

こちらはアメリカの「BG」という添加剤メーカーさんで、アメリカでは結構、有名なメーカーさんのようです。

こちらをブレーキパッドの表面に塗りこんで乾かします。

それが、こちら↓↓↓

表面が黒っぽくなります。

これだけで、ほぼ100%!

ブレーキ鳴きが解消しています!!

「ほぼ」としているのは、今まで、100件以上、この処置を行った後、お客様から「ブレーキ鳴きがする」というので確認しましたが、全くブレーキ鳴きが確認出来なかったというのが1件あった事くらいです。

新品のブレーキパッドを交換する時、この処置をすると効果絶大です。

1本、1,000円前後くらいの金額。(購入の仕方によって変わりますが)

1本で数台に使用出来ます。塗り方次第で、10台くらいいけるかもしれません。

ヘラパジッドと ストップ・スクィールの組み合わせは、かなり評判が いいです。

お試しあれ!!!

試してみたら大成功!

弊社では、お客様からのご依頼、ご要望には、お応えしたいと思い、お断りする事を出来るだけしないようにしております。

ですが「ディーラーでないと対応出来ない作業」や「資料が無い」「情報が無い」というような場合には、出来ないとお断りする事があります。

先日、ポルシェを所有されているお客様から「部品を持ち込みで交換してほしい」との、ご依頼いただきました。

作業内容は「ショックアブソーバー交換」です。

作業後、走行テストをしてみるとハンドルを回す度に「バキン!バキン!」と金属音。

取り付け方に問題があるのかと、再度確認。

↓↓↓

もう一度、取り外してみました。

↓↓↓

特に問題は無く、何故、金属音がするのかを調べてみました。

どうも車高調整が出来るショックアブソーバーには2種類ある事がわかりました。

・サーキットタイプ

・ストリートタイプ

「サーキットタイプ」とは、「サーキット走行」を想定しているため、走行時の音などの対策はされていないようです。

それに引き換え「ストリートタイプ」は、「街乗り」を想定しているため、走行音や乗り心地なども考慮してあるそうです。

なので、サーキットタイプのショックアブソーバーは、ある程度は仕方がないと…

でも、お客様の立場からすると、ハンドルを回す度に 「バキン!バキン!」と金属音 がするのは不安でしかありません。

そこで考えました!

まずは↓↓↓

まずはショックアブソーバー上部を見てみると、アッパーマウントの下のスペーサーとコイルスプリングが直接、接触している事が判明。

そこで、コイルスプリング下部に取り付けられていたスプリングシートを取り付けてみました。

こんな感じ↓↓↓

そして期待を込めて、走行テスト!

残念ながら…全く効果無し!!

そして試行錯誤が続きます…

ストリートタイプの部品を確認してみると、上部のスペーサー部分がベアリングになっていて、コイルスプリングが一緒に回るため、音がしないようで。

ベアリングが無いために、ハンドルを回す度に、コイルスプリングが動いてしまい音が出ているようでした…

今一度、考えてみました。

構造的には、こんな感じ↓↓↓

そして思いつきました!

コイルスプリングが、あまり動かないようにすればいいのではないかと!!

そして「スプリングシート」を作成。

それが、こちら↓↓↓

左のプラスチック製のスプリングシートに合わせて、ゴム製のスプリングシートを作成して取り付けてみました。

どこにとりつけたかというと…

こちら↓↓↓

そして組み付け!

組み付けるとこんな感じ↓↓↓

こうする事で、ハンドルを回した時にコイルスプリング下部が固定されて、上部が滑るように動くと、音が消えるのではないかと考えました。

そして、走行テスト!

結果は大成功!!

100%ではありませんが、ほとんど音はしなくなりました。

何より、お客様にも大変喜んで頂きました!!!

いやぁ~、大変な作業でした(汗)

ですが、こうして結果だ出せた事は、弊社として、また一つ大きな経験をさせて頂きました!

ありがとうございました!!

同じような音で悩んでいる方がいらっしゃいましたら、ぜひ、ご参考にしてみて下さい。

宜しくお願い致します。

思い込みに注意

1990年代「メルセデスベンツ」と言えば、「スリーポンテッドスターマーク」と同時に「四角いヘッドライト」のフロントマスクが特徴でした。

そのメルセデスベンツが1996年、Eクラスをフルモデルチェンジした際にヘッドライトの形状を「丸目」にした事は衝撃的でした。

当時「丸目のヘッドライト」と言えば「ジャガー」というイメージでしたから。

賛否両論ありましたが、結局、約10年間、丸目のヘッドライトのデザインを続けました。

メカニックの立場で見ると、Eクラスが丸目になったあたりから、急速に車の「電子化」早くなった事を覚えています。

「CAN(コントロール・エリア・ネットワーク)」という通信システムが拡充されて、全てのコントロールユニットがデーター通信で、つながれるようになっていきました。

そして、最近の車両は、色々なものが「コントロールユニット化」しています。

「メーターパネル」「ルームランプ」「ドア」など…

それぞれが独立したコンピューターになってCAN通信で接続されて、データーのやり取りをしています。

先日、メルセデスベンツのCクラス(W204)で「リヤドアのドアロックが左右共に作動しない」という症状で入庫がありました。

テスターで診断してみると故障メモリの入力は無いものの、リヤドアのコントロールユニット内のドアロックの実測値では左右共に「メカニカルエラー」という表示が出ていました。

まずはリヤドアを確認。

こちら↓↓↓

そして、これがコントロールユニットです。

↓↓↓

とりあえずコントロールユニットへの電源電圧を点検してみましたが問題は無いため、「コントロールユニットの不具合」ではないかと判断しました。

ですが、左右同時になるものなのかとの疑問があり、まずはどちらか片側だけでも交換して変化があるかどうか、確認してみたいと思い、同じ品番の中古の部品を取り寄せて交換。

交換後、変化無し。

どうしたものかと調べら直してみました…

すると、ある事を発見しました。

「リヤドアコントロールユニット」と「リヤドアロック」は接続されていない!

上記の写真をよくよく見てみると、確かにドアロックへ行く配線が無い!

さらに調べを進めてみると、ビックリする事がわかりました!!

実は、この車両は製造開始初期から1年くらいの期間だけ、違うコントロールユニットがリヤのドアロックを制御している事が判明しました。

配線図を見ていても、なかなか理解出来ませんでした(汗)

そして、たどり着いたコントロールユニットが「フロントSAMコントロールユニット」です。

それが、こちら↓↓↓

念のため、配線を確認!

こうして、このユニットとリヤのドアロックが、つながっている事を確認しました。

この後、フロントSAMコントロールユニットのソフトウエアが古いバージョンになっていたため、最新バージョンにアップデート。

リヤのドアロックが正常に作動するようになりました。

ドアに装着されているコントロールユニットがドア回りの制御を全て行っているという思い込んでしまったために、解決までに時間がかかってしまいました(泣)

年式によって、システムが違うという基本的な知識を忘れずに、今後も取り組みたいと思います。

削って痛い目にあった部品

輸入車のユーザーさまで一番の悩みどころは「修理費用が高額になりやすい」という事ではないでしょうか。

弊社は、その声にお応えしたいと常日頃から試行錯誤しております。

ある時、メーター内にエンジンのチェックランプが点灯したという事で修理を承りました。

車両はメルセデスベンツのSクラス。

テスターで診断した結果、セカンダリーエアーポンプが作動していない事が判明しました。

「セカンダリーエアー」とは、エアクリーナーを通る経路以外から、空気を送り込んで、触媒コンバーターの機能を活発にさせるためのもの。

日本語に変換すると、そのまま「2次空気」というやつですね。

そのポンプは、どこに配置されているかといいますと。

こちらはエンジン↓↓↓

フロント側にカバーを外すと。

↓↓↓

もうちょっとアップにしてみましょう。

真ん中にある黒い部品がポンプです。

作動する時はモーター音がして、左右のバルブ(金色の部品)が開いて、エキゾーストマニホールドへ空気が送られます。

部品を外してみるとこんな感じ。

↓↓↓

左側が不具合のある部品。右側が中古部品です。

角度を変えますと。

左側の部品。写真の上部の側面がメッシュになっています。ここから空気を取り込んで、モーターが回り、左に出ているパイプへ押し出す構造です。

ちなみにテスターで作動させると、こうなります。

↓↓↓

ポンプを強制的に作動させると。

↓↓↓

O2センサーの電圧の数値が「3桁」から「2桁」に変化しています。

なかなか強力なパワーですね。

以前は、ここで交換作業をして、お客様へ「修理が完了しました」と、お引渡ししておりました。

でも数日後…

同じ症状で入庫。

故障メモリも同じ。

不具合個所も同じ。

どー! ゆー! こっちゃー! と頭を抱えました。

診断し直してみると原因が判明。

交換した部品が、こちら。

↓↓↓

上が作動用リレー。下が電源ヒューズです。

リレーの形状が変更されているのがわかります。

診断してみると…

状況としては、こうなります。

・リレー内部の接点が固着してリレーがONのままになる。

・ポンプが回り続けて、内部が焼き付く。

・電源ヒューズが切れる。

こんな感じです。

状況によっては、ヒューズが切れていない場合もあるので判断に迷う場合があるかもしれません。

ほとんどの場合、「ポンプの内部抵抗が大きくなって作動出来なくなる」状態になっています。

費用を抑えるために「壊れていない部品は交換しなくてもよい」というのは間違いではりません。

でも、後先を考えた場合、交換しなくてはいけないものもあります。

当然ですが故障原因を、しっかりと見極めることも同時に、大切な作業です。

安い部品ならいいかもしれませんが、高額の部品の場合は目も当てられないですよね。

今後も、しっかりと原因を見極めた作業をしていきたいと思います。