エアコンが必要な季節です。

段々と暖かくなり、ここ最近ではムシムシする事も多くなってきた、この時期。

車を運転するユーザーさまには、欠かせないのがカーエアコン。

先日「エンジン始動から数分後、突然エアコンが効かなくなる」という症状で入庫がありました。

車両はメルセデスベンツのSクラス。

「W220」というタイプです。

テスターで診断してみると「室内温度センサー不良」との診断結果。

エアコンのコントロールユニット内の実測値では「0度」と表示されていました。

そして温度センサーといっても、この車両には「2か所」あります。

1か所目はこちら↓↓↓

こちらはフロントルームランプユニット。

正式名称は「ルーフ・オペレーティング・ユニット」です。

このユニットは「ルームランプの操作」だけでなく、「スライディングルーフの操作」「セントラルロックの電波の受信機能」もあります。

そして、もう一つの機能が室内の温度を測定することです。

どこで測定しているかというと。

こちら↓↓↓

中央のスイッチの右側に6本の線状で穴が開いている部分。

この内部に温度センサーがあります。

そして、このセンサーは室内の「上部」の温度を測定しています。

では「下部」はあるのか?

あるんです!

それが、こちら↓↓↓

こちらはエアコンのコントロールユニットが内蔵されている「操作パネル」です。

見てお分かりだと思いますが…

右上の縦線状の内部に温度センサーが内蔵されて、室内の下部の温度を測定しているのです。

このように「頭上の温度」と「体の温度」との差を測定する事によって、 より快適なエアコンの制御をしているのです。

凄いですね~!

でも、残念な事が一つ!!

故障したら単品交換は出来ません(汗)

アッセンブリ交換となります(泣)

という事で当然、高額修理になってしまいます…

年代によっては部品が生産中止になってしまっていたりします。

でも、中古部品を使用できる場合もあります。

今回の修理については中古部品で対応しました。

何かありましたらご相談下さい。

お待ちしております。

なかなか珍しい作業④

さて今回はレリーズシリンダーの交換をご紹介いたします。

一見すると、どこにあるのか、わかりません。

隠れています。

↓↓↓

入り組んでいますが、この先にいます(笑)

外していきます。

↓↓↓

これでも分かりづらいと思います。

拡大してみましょう!

ようやく見えてきました。

当然ですが、こちらが室内側。

↓↓↓

インパネのアンダーカバーを外して、ペダルごと取り外します。

↓↓↓

反対側も見てみましょう。

見たところ、レリーズシリンダーだけで外れるのか…

ちょっと不安でしたが、こんな感じにバラバラになります。

↓↓↓

そして、やっと交換できます。

こうして全体の作業を終えて、お客様のもとに引き渡しを完了しました。

長らく、お待たせ致しました。

よい経験をさせて頂きました。

やはり、はっきりと感じるのは「フォルクスワーゲン」というメーカーの整備性は、あまりよくないです(笑)

なんとかしてほしいとも思いますが、逆に言えば、やりがいがあると思う車、またはメーカーでもあります。

今後もチャレンジしていきたいと思います。

なかなか珍しい作業③

さらに続きます。

今度はエンジン側を見てみましょう!

クラッチのカバーが見えています。

正面から見ると↓↓↓

ここでの特徴は、こちら↓↓↓

カバーを固定しているボルトは「12ポイント」の10㎜のボルト。

普通であれば「6ポイント」のボルトを使用しますが、あえて「12ポイント」のボルトを使用しているようです。

「強く固定したい場合」なら、力を掛けやすい「6ポイント」のボルトを使用しますが、あえて「12ポイント」にする事で、一般工具での整備をさせないようにさせているのかもしれないなぁ…なんて。

色々と調べてみましたが、その理由はわかりませんでした。

分かる方がいらしたら、ぜひ教えて下さい。

宜しくお願い致します。

さて外してみました。

↓↓↓

ここをクリーナーなどを使用して綺麗にすると

↓↓↓

あんまり変わりませんね(汗)

さてクラッチのカバーはこちら↓↓↓

カバーを新品と比べてみましょう!

↓↓↓

当然ですが、ディスク部の焼け具合が全然、違いますね。

ではディスク側を見てみましょう!

↓↓↓

こちらの場合、ディスクの溝の状態が、やはり新品とは違います。

さて今回も、ちょっと長くなってしまいました。

次回はレリーズシリンダーの交換工程をご紹介いたします。

では、お楽しみに!

なかなか珍しい作業②

先日、ご依頼いただきました「クラッチオーバーホール」の作業の続きです。

こちらが取り外されたトランスミッションです。

↓↓↓

角度を変えましょう。

作業工程としては、トランスミッション側を傾けて外します。

ここまで外すのに…

・ドライブシャフト

・プロペラシャフト

・エキゾーストパイプ

・サブフレーム などなど

かなり面倒です。

そして外す時に邪魔になったのが、ここ。

↓↓↓

外しましょう!

マウントのブラケットです。

この上部はといいますと。

こちら↓↓↓

写真中央の上側からフレームがなくなるところまでの高さが意外とあり、邪魔して、なかなか外れませんでした。

こいつは外しておける状態にした方がいいと思います。

まずはミッション側を見てみましょう。

レリーズベアリングがあります。

これを外すと↓↓↓

こちらベアリングを直接、オイルで押し出す構造になっています。

テコの原理で動かすものが一般的ですが、こういうのは初めて見ました(汗)

ちょっと長くなりましたので続きは次回に致します。

なかなか珍しい作業です。

最近の車両は「オートマチックトランスミッション(A/T)」が主流です。

そのため、マニュアルミッション(M/T)を乗れない方も増えていますね。

あえてM/Tに乗る方は、「車を楽しみたい」と思っておられる方なのではないでしょうか。

弊社でも入庫される車両の9割以上がA/T車両です。

先日、珍しくM/T車両の修理依頼を頂きました。

もちろん修理内容は「クラッチオーバーホール」です。

車両は「フォルクスワーゲンゴルフR32」

↓↓↓

エンジンルームはこちら↓↓↓

かなり狭い設計になっています。

さて下からみますと、こんな感じ。

左半分がエンジンで、右半分がクラッチの構造となっています。

そして後ろ側です。

この車両は「4輪駆動(4WD)」のためプロペラシャフトを外さねばなりません。

これが、なかなか大変です。

エキゾーストパイプの上には遮熱版で、しっかりとガードされてます。

よく見ると、面白い事に気が付きました。

↓↓↓

このサブフレームはエンジンとは、つながっておらず、ボディーとステアリングギヤボックスとクラッチのブラケットだけで、サブフレームを外しても、エンジンが降りてくる訳ではありません。

ここら辺がメーカーの特徴というものなのでしょうね。

弊社の作業では「邪魔になる部品は、とりあえず外してみる」という事が多いもので。

初めて、この車両の状態を見た時は「エンジンごと、降ろしてしまった方が早いのではないか」と考えましたが浅はかでした(汗)

さて実際の作業は次回以降、ご紹介いたします。

お楽しみに!

距離を走れば,どこでも劣化します。

タイトル通りで、こんな所も劣化するんだとビックリした事例をご紹介いたします。

車両はジャガーXJ。

フロントの足回り付近からギコギコと音がするという事で入庫。

左フロントのショックアブソーバーの上部から音が出ているとの事。

見た目は何も悪いところはありません。

そして外していきます。

普通なら「ギコギコという音」と聞くと「ボールジョイント」というイメージがあったのですが、実際に音を聞いてみると、確かにショックアブソーバーの上部から。

下から見てみると。

↓↓↓

何か錆ついてますよね(汗)

そしてショックアブソーバーを取り外し。

取り付けられていた部分には特に変なところはありません。

そして、これが外れた上部の部品。

↓↓↓

上から見るとわかりませんでしたが…

下から見ると明らかに劣化している事がわかります。

↓↓↓

個別の方がわかりやすいので。

こちらが新品↓↓↓

こちらが不具合部品↓↓↓

ショックアブソーバー上部が取り付けられている部分のセンターが、ズレていることが判明。

さらに、こちら↓↓↓

高さもこんなに変化していました。

当然ですが組付けたら、左右の高さが多少なりとも変わりますね。

高走行距離車両は、色々な部品にダメージが出てきます。

またイメージとは違う故障も増えてきますね。

不具合が発生した時はできるだけ早く修理して、快適なカーライフをお楽しみに頂ければと思います。

よく考えれば、人間と同じですねぇ~。

年を重ねたら定期的な検査と、何かあったら早めの検診です。

何かありましたらご相談下さい。

お待ちしております。

簡単に考えないでほしいところ

先日、お客様から「エンジンから変な音がするので、ガソリンスタンドで見てもらったら、水漏れしているから点検してもらった方がいいと言われた」という事で連絡を頂きました。

入庫の日程の予約をして、入庫されました。

入庫時、変な音は聞こえなかったものの、お預かりして早速、状況確認。

エンジンルームを覗いてみると!?

↓↓↓

分かりにくいので角度を変えると。

↓↓↓

エンジンのベルトが半分、引きちぎれてファンに巻き付いていました(汗)

こうなると「異音」とか「水漏れ」とかいう前に状況を把握しないとならないのですが、この部分のスペースが狭くて、どうにもなりません。

そこで前側から順次、外していきました。

フロントバンパーやグリル。タイヤに…と。

ヘッドライトにフロントフレーム。コンデンサー、ラジエーターまで外して、ようやく、こんな感じです。

↓↓↓

ここまで外して、やっとたどり着きました。

まずはベルトをはがします。

写真では、簡単な作業に見えるかもしれませんが、スペースが狭いのでニッパーで少しずつ切り刻んでいくという地道な作業です。

約30分くらいで、このように巻き付いたベルトが外れました。

分かりにくいですが、この時点でウォーターポンプがガタガタになっていました。

ここでファンが外れるようになり、全体が見えるようになります。

明らかな変色とベルトが切れた時の粉末が付着しています。

そしてウォーターポンプを交換!

左の不具合品の裏側を見ていると。

ハネの下の部分が接触して削れています。

こちらが新品↓↓↓

このガタげ原因となり、ベルトの動きが左右に揺れて、作動し続けたものです。

結果がこちら↓↓↓

エンジンからの音は「いつもと違う」と感じた時点で修理工場で点検される事をお勧めします。

結果が、こうなってしまうと2次的に、他の部品まで壊れてしまう事になります。

あまり簡単に考えない方がいいのではないでしょうか。

心配な時は、ぜひお立ち寄り下さい。

お待ちしております。

続・音の修理は本当に難しい

さて、前回の続きです。

この「フロント・バルブ・ブロック」のパイプ部分に、強い振動が伝わってくるのを確認しました。

では、この部品を交換!という訳にはいきません。

前回も言いましたが高額部品です。

慎重に行きましょう。

その振動が、どこからくるのかです。

パイプを伝っていくと、エンジンルーム内部へ。

↓↓↓

前側にあるパイプに伝わってくる事を確認!

さて、カバーを外してみましょう!

↓↓↓

パイプがポンプらしき部品に接続されています。

角度を変えてみると。

↓↓↓

もう少し拡大してみます。

↓↓↓

パイプが接続されている横に球体の部品があります。

この部品は「パルセーションダンパー」といって、ポンプ駆動で発生する脈動を吸収する部品です。

外すと、こちら↓↓↓

左側が取り付けられていた部品で、右側が新品です。

上から、ちょっと覗いてみます。

これが取り付けられていた部品。

で、こちらが新品。

↓↓↓

フラッシュで反射して見えにくいですが、中の上部が丸いバルブみたいなもので止まっているのがわかります。

取り付けられていたものには、見えません。

これは、内部に注入されているガスがショック(ダンパー)の役目をしていて、そのガスが抜けて落ちてしまっているという事です。

それで脈動を吸収できず、振動として伝わってしまったという事なのです。

という事で、こちらは交換作業を終えて、症状は解消されました。

やはり、音の修理は本当に難しいです(汗)

安易な交換作業は慎重に。

音の修理は本当に難しい

おかげさまで自動車の自動車の整備工場として50年を超えた弊社。

整備内容は車検整備だけではなく、「一般修理」と言われるような作業も致します。

例えば「エンジンの調子が悪い」「窓ガラスが閉まらない」「エアコンが効かない」など、多種多様にあります。

その中でも難しいのが「音」の修理です。

「音」は響くので、「鳴っている」ところと、「聞こえる」ところが違う場合もあり、また「走っている状態でないと音が聞こえない」などの症状には、頭を悩ませます。

以前、こんな事がありました。

「シフトレバーをDレンジに入れると、ミッションから変な音がする」というので点検して見ると。

シフトレバーの中から「ピー」という音がして、よく見てみると、シフトレバーの内部に「補聴器」が落ちていたという事がありました。

また「ミッションから変な音がする」という事で点検すると、コンソール内に入っていた「松ぼっくり」だったり(汗)

今回、ご依頼いただきましたのはメルセデスベンツのSクラス(W221)です。

「左の前付近から異音がする」という症状で入庫されました。

試乗してみますと、車両が停止状態の時には音はせず、走行中のみ異音が発生する事を確認しました。

左の前というと

↓↓↓

タイヤ? ブレーキ? ショックアブソーバー?

それ以外に何があるでしょうか?

タイヤハウス内のカバーを外してみます。

それが、こちら↓↓↓

何やら見えてきました。

拡大して見ると。

↓↓↓

こちら、ABC(アクティブ・ボディ・コントロール)システムの「フロント・バルブ・ブロック」という部品がここに配置されていました。

簡単にいうと「ABC」システムとは「油圧制御サスペンション」システムの事。

この部品はフロント側のサスペンションの制御を行っている部品です。

このパイプ部分に、何か、ちょっと強めの振動が伝わってくるのが、わかりました。

となると、この部品を交換!

そう簡単にはいきません!!

試しに交換するにも、数十万円の部品ですからねぇ~(汗)

ちょっと長くなってしまうので、この続きは次回。

交換してはいけません

年々、車が進化していき、「電気」から「電子」へと変わって行きます。

その過程で一つ一つを動かすコンピューターが「パソコン化」しています。

どういう事かと言いますと、例えば「エンジンのコンピューターが壊れてる」となった場合、以前であれば「交換」です。

でも最近のコンピューターの場合は中の「ソフトウエアを書き換える」という作業になってきています。

以前、こんな事がありました。

車検で入庫し、点検したところ、リヤフォグランプの点灯がおかしい事に気が付きました。

それが、こちら↓↓↓

見てみると、左側が点灯しています。

これでは車検検査を通す事が出来ません。

リヤフォグランプの点灯を制御しているのは、「リヤSAMコントロールユニット」という部品です。

以前であれば、「交換してみよう」となりますが…

テスターで確認してみると↓↓↓

新しいバージョンのソフトウエアが用意されていました。

早速、バージョンアップを開始!

この作業をする場合、イグニッションオンで「エンジンを掛けない状態」で行う事。

それと充電器を接続して「12V以下にならないようにする」事に注意して行います。

そしてバージョンアップが完了。

すると、どうでしょうか!

このように右側が点灯するようになりました。

正直、私どもに、なぜ、こうなってしまったのかは、わかりません。

コントロールユニット内部のソフトウェアが、何かしらをキッカケに不具合が生じてしまったのでしょうか。

現在の車には、交換をする前に、まず、このような作業をする必要があります。

でも、全てが、こうなっているわけではありません。

メーカー、車種、個別コントロールユニットによって違います。

わからない方は、交換する前に一度、ご相談下さい。

お待ちしております。