1990年代「メルセデスベンツ」と言えば、「スリーポンテッドスターマーク」と同時に「四角いヘッドライト」のフロントマスクが特徴でした。
そのメルセデスベンツが1996年、Eクラスをフルモデルチェンジした際にヘッドライトの形状を「丸目」にした事は衝撃的でした。
当時「丸目のヘッドライト」と言えば「ジャガー」というイメージでしたから。
賛否両論ありましたが、結局、約10年間、丸目のヘッドライトのデザインを続けました。
メカニックの立場で見ると、Eクラスが丸目になったあたりから、急速に車の「電子化」早くなった事を覚えています。
「CAN(コントロール・エリア・ネットワーク)」という通信システムが拡充されて、全てのコントロールユニットがデーター通信で、つながれるようになっていきました。
そして、最近の車両は、色々なものが「コントロールユニット化」しています。
「メーターパネル」「ルームランプ」「ドア」など…
それぞれが独立したコンピューターになってCAN通信で接続されて、データーのやり取りをしています。
先日、メルセデスベンツのCクラス(W204)で「リヤドアのドアロックが左右共に作動しない」という症状で入庫がありました。
テスターで診断してみると故障メモリの入力は無いものの、リヤドアのコントロールユニット内のドアロックの実測値では左右共に「メカニカルエラー」という表示が出ていました。
まずはリヤドアを確認。
こちら↓↓↓
そして、これがコントロールユニットです。
↓↓↓
とりあえずコントロールユニットへの電源電圧を点検してみましたが問題は無いため、「コントロールユニットの不具合」ではないかと判断しました。
ですが、左右同時になるものなのかとの疑問があり、まずはどちらか片側だけでも交換して変化があるかどうか、確認してみたいと思い、同じ品番の中古の部品を取り寄せて交換。
交換後、変化無し。
どうしたものかと調べら直してみました…
すると、ある事を発見しました。
「リヤドアコントロールユニット」と「リヤドアロック」は接続されていない!
上記の写真をよくよく見てみると、確かにドアロックへ行く配線が無い!
さらに調べを進めてみると、ビックリする事がわかりました!!
実は、この車両は製造開始初期から1年くらいの期間だけ、違うコントロールユニットがリヤのドアロックを制御している事が判明しました。
配線図を見ていても、なかなか理解出来ませんでした(汗)
そして、たどり着いたコントロールユニットが「フロントSAMコントロールユニット」です。
それが、こちら↓↓↓
念のため、配線を確認!
こうして、このユニットとリヤのドアロックが、つながっている事を確認しました。
この後、フロントSAMコントロールユニットのソフトウエアが古いバージョンになっていたため、最新バージョンにアップデート。
リヤのドアロックが正常に作動するようになりました。
ドアに装着されているコントロールユニットがドア回りの制御を全て行っているという思い込んでしまったために、解決までに時間がかかってしまいました(泣)
年式によって、システムが違うという基本的な知識を忘れずに、今後も取り組みたいと思います。