一つ一つの積み重ね。

最近の車の進化の中で、一番大きい事と言えば「内燃機関(エンジン)」から「電気モーター」への変化ではないかと思います。

この「内燃機関」というのも、開発するには、なかりの費用と技術が必要となるため、実際に一から開発出来る技術を持っている国は、世界の中で「アメリカ」と「ドイツ」と「日本」しかありません。

特に日本の開発技術は群を抜いているため、追い付く事が出来ないでいます。

そのため世界は「脱炭素」を旗印に「電気モーター」へ、舵を切ったというのが現状のようです。

車の部品の中で特に「電気モーター化」が進んできているものがあります。

それは「ステアリング(操舵)機構」です。

最初は「ボール・ナット式」というタイプでトラックや本格的な4WDに装着されていました。

それが進化して「ラック&ピニオン」というタイプになり、構造がシンプルで、コストが安いという事から今では、ほとんどの車両に装着されるようになりました。

ちなみに、こんな形になります。

上記は右記から引用:https://www.setakinoko.es/wiki/ステアリング

左右の機構を比べてみると、構造の違いが分かりますね。

上記に記載はありませんが、この機構に「油圧ポンプ」を追加して「パワーステアリング」という油圧制御システムになります。

これにより、タイヤが大きく、太くて接地面積が大きいものでも、軽くハンドルを回す事が出来るようになるのです。

そして今、徐々に「電気モーター」へと代わって来ています。

先日、修理依頼を受けました車両はメルセデスベンツ「Aクラス」

2012年から2018年に販売されていた「W176」というタイプです。

メーター内に「ステアリングギヤボックス故障」と警告するインフォメーションが点灯するとの事。

診断の結果、「ステアリング・コントロールユニット不良」と判断。

交換作業をするにしても、「アッセンブリ(一体型)交換」になります。

こちらがリフトアップしてアンダーカバーを取り外した状態。

見た目に、どれがと思われると思いますが…

白い矢印の部分が、ステアリングギヤボックスのコントロールユニットです。

フロントアクスルに固定されているため、アクスルごと取り外します。

こちらが取り外した上側です。

かなり「遮熱板」が取り付けられていますが、なぜ、こんなにも多く取り付けられているかというと、外れた状態を見ると分かります。

↓↓↓

ちょうどエキゾーストパイプが通っている事により、熱による影響を防ぐため、多くの「遮熱板」が必要となります。

そして、ステアリングギヤボックスをフロントアクスルから取り外します。

上側が不具合部品。下側が新品部品です。

拡大してみると…

矢印の部分が「ラック&ピニオン」と言われるステアリングギヤボックス本体です。

そして、こちら↓↓↓

矢印の部分が「モーター」になります。

このモーターがハンドルを操作する時に軽く回せるようにサポートしてくれるのです。

そして、このモーターの上になる部品。

こちら↓↓↓

この矢印の部分が「コントロールユニット」になります。

このコントロールユニットがステアリング機能の全ての状態を把握して、制御しています。

不具合部品と新品部品とを比べた時に、何か違う(改善している)部分があるかどうか確認してみると…

ここが違っていました!

それは↓↓↓

こちらは不具合部品。

こちらが新品部品↓↓↓

トルクセンサーから入力される信号用コネクタの形状に変更があったという事は何かしら対策がされたのでしょう。

どんな改善内容かは分かりませんが、改善されたのであれば、今後、不具合が発生する可能性が一つ減る事になりますので、良かったです。

最初から完璧なものはありませんから、一つ一つの改善が故障の少ない車両を作り上げていく一歩だと思います。

メーカーさん、宜しくお願い致します。

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